ぽこ あ ぽこ  音楽教室  岐阜ピアノ教室

岐阜県羽島郡笠松町にある 「ぽこ あ ぽこ音楽教室」
ピアノ、ソルフェージュを
丁寧に指導しています

コメント欄へお寄せいただいたご質問に対する回答です。

投稿してくださったのは、
吹奏楽部に所属する中学3年生の女の子、ありすちゃん。


【質問】
「音感を鍛えるのには、
ソルフェージュをやるのが一番良いのでしょうか。」


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「音感」というのは、「音に対する感覚」のことを指します。
音の高さ、リズム、メロディ、ハーモニー、
強弱、速度、音色等です。

ありすちゃんは、おそらく「音の高さ」に対する音感のことを
質問しているのだと思います。


まず、結論から言いますと、
音感を鍛えるのに、ソルフェージュの学習は有効です。

ただし、ありすちゃんに必要な能力は何か。
その必要な能力を養い、強化するためには、
どのような勉強をする必要があるのか。
…ということを考えないといけません。


例えば、ピアノを専門にする人であれば、
「音の高さ」に対するトレーニングは、あまり難しくありません。

何故なら、ピアノというのは、調律師さんが調律をしてくれて、
440hzなら440hzで、全て均等に調律され、
その状態は比較的長く保たれます。

管楽器や弦楽器のように、演奏している間に、
音の高さが大きく変化することはありません。

ですから、ピアノを演奏する際、
毎回チューニングする必要ありません。
きちんと調律されたピアノであれば、
ラの鍵盤を押せば、440hzのラの音しかでてきません。
(弾きこんでいる間に、徐々にじんわりと下がっていきますが…。)

マリンバやグロッケンのように、一度作られてしまうと、
簡単には音の高さを変えられない楽器も同じことが言えます。

しかし、音の高低が、演奏技術の1つとされる
弦楽器や管楽器奏者にとっては、
「音感」のトレーニングは、もっともっと重要な意味を持ってきます。


「絶対音感」という言葉があり、少なくとも音楽をする人なら、
誰もが聞いたことのある言葉でしょう。

絶対音感というのは、ラはラに聞こえます。
でも、実際は、そのラにも、幅があります。

1939年5月にロンドンで開催された標準高度の国際会議で、
「A=440hz」と決められました。

しかし、世界中のオーケストラや吹奏楽団が、
440hzで合わせているわけではありません。

英語圏では440hz、
ヨーロッパ大陸ではもっと高く、
特にドイツ語圏になると、444hz〜445hzが好まれているそうです。

ちなみに日本では、1948年以前には、
435hzを標準としていたそうですが、
現在は、442hz〜443hzのところが多いそうです。

20世紀初めの古い録音では、
標準音が435hzのオーケストラもあったそうですし、
18〜19世紀頃は、時代や地域等によって、
422〜445hzとかなり開きがあったそうです。


ところで、絶対音感保持者と言っても、精度には大きな違いあり、
音の高さを当てられるというレベルから、
「440hzを基準とする」というように、hzまで聞き分けるほど、
機械のように精密な方もいらっしゃるそうです。

「ピアノの白鍵のみ」とか、「ピアノの音のみ」とか、
条件がつく方もいらっしゃるそうです。


さてさて、話を戻しまして、
Aの音が鳴るチューナーを持っているなら、
ぜひ、440hzのラと445hzのラを聞き比べてみてください。

聞き比べてみても、よく分からない場合は、
お友達に手伝ってもらって、
お友達に442hzで合わせたAを出してもらい、
ありすちゃんは445hzのAを出してみましょう。
「ズレ」が分かると思います。

そして、それが、音の高さ=ピッチが合っていないということです。
吹奏楽の世界では、よく使われる言葉だと思います。

ラには聞こえるけれど、ラにも幅があり、
吹奏楽のように、同じ高さの音を誰かと一緒に吹くと、
ほんの少し違うだけでも、音がズレてしまうんですね。

ピッタリ揃うと、キレイで大きなうなりに聞こえるのですが、
お隣さんと、微妙に違う高さを出すと、
うなりが細かくなったり、不規則になったりして、
不快感を感じます。

また、和音の場合であれば、
「美しいハーモニーとして響いてくる音の高さで演奏されていない」
ということになります。

現在は、12平均律が一般的ですが、美しいハーモニーというのは、
平均律では得られません。

ですから、本当に素晴らしい奏者というのは、
音楽の中で、必要に応じて、
ピッチを微妙に変化させているそうです。

ちなみに、ピアノでは12平均律で調律されます。


「聴音」「視唱」というような、
ソルフェージュのレッスンを受けたり、勉強をすることは、
とっても重要で、音高や音大では必須の授業とされます。

しかし、うなりや、ハーモニーが美しいかどうかを感じるのには、
聴音のトレーニングを受けるだけでは、学習できません。

何故なら、聴音は、
「音とリズムを聞き取り、楽譜にする」という作業であり、
聴音課題の演奏は、ピアノで行われることがほとんどだからです。
(たまに、電子楽器を使用する場合もあります。)

聴音では拍子を感じる能力やリズムを
正確に聞き取る能力が身につきます。
やってみたら、随分いい加減に、
音楽を聴いたり、演奏したり、感じていることを
思い知らされると思います。

また、音楽のルールや、音程の幅等も
随分意識できるようになっていくと思います。

ただし、音程に関しては、
聴音だけで意識するようになるのは難しく、
歌うという作業が必要になってきます。

ですから、「歌う」という、自分の中で音程を作る練習をすることは、
とてもとても大切です。


ありすちゃんがどのような能力を求めているのか分かりませんが、
演奏上必要な「ピッチの感覚」に関する音感を身に着けるには、
ありすちゃんが演奏している楽器のプロの奏者や
指導者のレッスンを受けることです。

耳がよく、アンサンブル経験が豊富で、
美しい響きとは何かを知っていて、なおかつ、
その楽器を本当の意味で演奏できる人の指導を受けることです。

ありすちゃんは、学者ではなく、音楽を演奏する人なのですから、
理解するだけでなく、「演奏できる」状態に
繋げていかなければいけません。

その上で、ソルフェージュのレッスンを受ければ、
ますます演奏に磨きがかかっていくはずです。

音楽は、1つだけを勉強しても、すぐに行き詰まります…。

本当に上手くなりたいなら、
いろいろなことを学ばなくてはいけません。
そして、ある日突然、バラバラだったものが、結びつき始めます。
音楽の勉強とは、それの繰り返しです。


文章で書くと、ちょっと説明が硬くなってしまって、
分かりにくい部分もあるかもしれませんが、以上が回答です。

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